ミナスジェライス州のエメラルド鉱山
この記事では、2024年3月に見学させていただいたミナスジェライス州のカポイエイラ鉱山の様子を紹介しています。この鉱山見学には中宝宝石研究所の北脇博士と国立科学博物館の門馬博士にご同行いただきました。
時系列で話すと、実はパライバ鉱山に行く前にミナスジェライス州にも立ち寄っていました。ブラジルの宝石と言えば、ミナスジェライス州で採れるものが有名です。Minas Gerais(一般的な鉱山)州の州名の通り、ミナスには数多くの鉱山があります。さらに、ミナスジェライスの料理はとても美味しいことで知られています。

ミナスジェライス、日本語に翻訳すると一般的な鉱山。ブラジル産の宝石のほとんどはここ、ミナスジェライスで産出されます。
ちなみに写真は空港近くの鉄の鉱山。本当に鉱山が身近な街です。

今回はミナスジェライス州ノバエラにあるカポイエイラ鉱山を見学させていただくことになりました。
ブラジル人は明るくて親しみやすい方が多く、日本人が珍しいこともあり、周りの人々が集まってきます。

カポイエイラ鉱山は、鉱山の真下に縦坑を掘っているため、鉱山の上には建物が立っています。地上部分はこのような感じです。

このエレベーターで地下に降りていきます。こう見えてカポイエイラ鉱山は全長300m、最深部が230mに達する大きな鉱山で、少し不安な気持ちになりますが、しっかりと降りていきます。

こちらが少し不安な気持ちの正体、エレベーターの可動部に使われているワイヤーです。見た目からして古い感じがあり、少しドキドキしますが、無事に降りることができました。

こちらは地下180mの世界です。内部は涼しいのですが、驚くほどの湿度で体力が削られます。多少足元が悪く、坑道が狭いので歩きにくいです。

こちらは採掘した土砂を運搬するためのトロッコです。土砂を運ぶだけのシンプルな作りですが、鉱山ならではの景色が広がっているので、ちょっと乗ってみたくなる気持ち、わかります!

この鉱山は、パライバ鉱山のカオリンの白とは対照的に、全体的に黒っぽい印象です。この黒さの秘密はシストという鉱物にあります。
ブラジル産のエメラルドには黒色の内包物がよく見られるですが、鉱山の産状を見てみると、その理由が納得できます。

どうやら私は高所だけでなく、閉所にも恐怖を感じることに気が付きました。
この鉱山では、実際に這いつくばって進む場所もあり、地上にたどり着けるかどうかを考えると恐怖が襲ってきます。
おそらく、同じ状況に置かれると、パニックになる人もいるかもしれません。狭い空間での作業は思った以上に精神的な負担が大きいですね。

シストの塊の中にはエメラルドが産出します。パライバ鉱山に比べると、エメラルドの産出量はかなり多く、あちこちに見られますが、やはり高品質なものはなかなか見つかりません。
多くは産出されても、品質が求められるものは少ないという現実です。

こちらはカポイエイラ鉱山で産出されたエメラルドです。品質的には、ジュエリーに使用するには少し難があり、宝石としての価値は限られています。とはいえ、このようなエメラルドも鉱山で採掘される貴重な宝石です。

こちらのエメラルドには多少品質の良いものも見られますが、それでもジュエリーに適したものは少なく、宝石品質のものは非常に限られています。
宝石が高価な理由がよく理解できる瞬間です。質の高いものが希少であるため、その価値が上がるのも納得できますね。

こちらはベルモント鉱山です。現在、ブラジル産のエメラルドのほとんどはこの鉱山から産出されています。今回は見学の交渉を試みましたが、残念ながら稼働日ではなかったため、断られてしまいました。

こちらはベルモント鉱山の遠景です。次回訪れた際には、ぜひ内部にも入ってみたいと思います。