パライバな日々 2024年鉱山開発編

 出羽三山での滝行を終えた後、2024年9月某日、パライバ鉱山の開発準備に向かいました。ついに本格的な鉱山開発に着手します。現在、この鉱山は稼働しておらず、まずはインフラの整備からのスタートです。ここから先は、気の遠くなるようなトラブル続きの日々の始まりとなるでしょう。

 今回のミッションは、事務所兼住居のリフォームを完了させること、そしてカオリン加工工場の整備および点検を行うことです。開発を予定している鉱山の下には、私たちが所有する土地が広がっており、そこには一軒の建物とカオリン精製工場が建っています。この施設を最大限に活用しながら、鉱山開発の第一歩を踏み出します。

まずは事務所兼住居のお話

 この建物は以前使用されていたものの、約10年近く放置されていたため、室内にはコウモリやクモが住みつき、電気も水もガスもない状態でした。とても人が住める環境ではありません。

 日本から連絡を取り合いながら、これまでも作業は進めてきました。そして今回の滞在前には「ほぼ完成」と聞いていましたが、そこは海外あるある。予定通りにはなかなか進まず、思わぬ問題が次々と発生するのでした。

 日本で家をリフォームする際、最初に相談するのは間取りや水回り、電気設備のことかもしれません。しかし、ブラジルで最初に言われたのは「壁」でした。

 この家は、金属線で囲まれた広大な敷地の中にぽつんと建つ建物。本当に何もない僻地にあるのですが、ブラジル人の感覚では、まず「セキュリティ」が最優先。最初に話題に上がったのは「3mの壁で敷地を囲む」という提案でした。

 壁ができたら次は塗装。まずは下地を塗っていきます。本来ならこの作業はすでに終わっているはずだったのですが、現場を見てみると、まだまだ始まったばかりといった状況でした。海外ではよくある話ですが、やはり予定通りには進まないものですね。

 壁の色は、満場一致で青色に決定。やはりパライバ発見の願掛けということで、自然と青を選んでしまいますね。実際、色を決める際はほとんどの場合、青系統に落ち着きます。
 ちなみに、我々のグロリアスマインのゲートも、美しい青色に塗り直されました。願いを込めたこの色が、良い流れを引き寄せてくれることを期待したいところです。

 内部の現状はこんな感じです。長年放置されていたため、蝙蝠や蜘蛛、蜂が巣を作り、完全に彼らのテリトリーになっていました。
 このままではとても住める状態ではありません。まずは害虫・害獣の駆除から始め、少しずつ人が暮らせる空間へと整えていく必要があります。なかなか骨の折れる作業になりそうです。

 外壁の状態もひどく、長年の風雨にさらされてボロボロになっています。屋根や壁にはひび割れや錆びが目立ち、このままでは雨風をしのぐのも難しい状況です。
 まずは補修を行い、その後にしっかりと塗装を施して、建物としての機能を取り戻していきます。時間も手間もかかりそうですが、ここを拠点として長く活用するためには避けて通れない工程ですね。

 カーポートの設置も進めています。屋根を取り付けることで、強い日差しや突然のスコールから車を守ることができます。
 作業は順調に進んでいるように見えますが、ブラジルでは天候や資材の遅れなど、予測不能なトラブルもつきもの。完成まで気を抜けませんね。

 カーポートの骨組みが無事に完成しました!この後、屋根を取り付ければ一気に形になりますね。
 強度や耐久性を考慮しながら、しっかりと仕上げていきます。天候の影響を受けずに作業が進むことを願うばかりです。

ここからは鉱山とカオリン工場のお話

 こちらが今後開発を進める予定の鉱脈です。現在は調査のために表層を掘削した段階ですが、今後はさらに深く掘り進める計画です。
 もともとこの鉱山はカオリンの採掘を目的としており、掘れば掘るほどカオリンが産出されます。そのため、採掘に伴う残土の処理や、カオリンの販売戦略も今後の重要な課題となります。

 こちらがこの鉱脈で採掘されたカオリンです。カオリンは非常に優れた鉱物で、特に純白のものは高い価値を持ちます。用途も多岐にわたり、陶器の原料や化粧品の成分として使われるほか、医薬品の賦形剤としても利用されています。
 パライバトルマリンは、このカオリンの中から見つかることになります。

 こちらが掘削作業によって積み上げられた残土の山です。掘り進めるにつれて、残土の置き場も徐々に限られてきています。
 これらの残土は、山を下った先にある我々のカオリン工場へ運び、カオリンとその他の鉱物に分離・精製していきます。

 こちらはカオリンとその他の鉱物を分離するためのプールです。
 このプールでは、カオリンの粒度ごとに分けられ、特に細かい粒子のカオリンは高い価値があるため、品質別に選別されています。

 品質別に分けられたカオリンは、このような機械で水分を絞り取られます。
 この機械は人力で動かされており、手作業による操作が行われています。

 水分が絞り取られたカオリンは、このように円盤状に成形されます。
 この辺りの作業は基本的にすべて手作業で行われています。

 水分が絞り取られた後、カオリンはこのように天日干しされます。鉱山が再稼働を始めると、このカオリンの販売が新たな課題として浮上します。
 また、この工場内にはまだ稼働していない部分があり、その部分は今後修繕が必要です。現在、我々の鉱山以外のカオリンを精製しています。

 精製後のカオリンはこのように純白で、粒子のサイズも均一です。このカオリンは、陶器や化粧品、薬の賦形剤などに加工されます。

 2024年現在、パライバトルマリン鉱山の開発はこのような進捗状況です。トラブルも多く、予定通りには進んでいませんが、着実に一歩ずつ前進しています。インフラ整備が完了すれば、いよいよ本格稼働が始まります。2025年には本格的な稼働が開始される予定です。